中間管理職トネガワ

 9巻と最終巻の10巻をまだ読んでなかったのでアマゾンで取り寄せる。

 トネガワの『最後』は、知ったうえでのスピンオフである。スピンオフのせいでトネガワに愛情ができてしまうと、このラストは胸に迫るものがある。『カイジ』という漫画のなかで都合よく現れる黒服の男たち(スピンオフでは黒服の女性一名含む)に個性を与えたことで、この漫画は偶然にも「市井の人々」を描くのに成功した。

 敗北者トネガワの背中もまた、その市井の人々の悲喜こもごものひとつとなり、強い個性を持つ「個」として描かれるよりもより悲しみを増していてトネガワを深みのあるキャラクターにと仕上げていた。英雄譚から名もなき人々の物語へと変えたことで、文学になったという印象(文学が英雄譚より上に来るという意味ではなく、主軸が変わったという程度の意味です)。それが「中間管理職トネガワ」という秀作を生んだ理由だろう。

 夕飯は「白菜と牛肉のうま煮」。人参やタケノコを白菜や牛肉とトロミのある炒め物に。八宝菜との違いはオイスターソースで味付けすること。家族がうま煮好きなので、手抜きのわりには食卓で喜ばれる。わたしとしては、肉と野菜を適量食べてもらえたらあとはなんでもよろしい。蕪と昆布の漬物はちょっと塩分が薄すぎたかも。減塩もほどほどに。

 きょうはそんなところ。

 

 途中、ちょっとわかりにくかったんで整理した。『カイジ』は素寒貧の若者だけど、あれは「英雄」なんだよね。カイジは「努力、友情、勝利」の人なのだ。サブキャラのトネガワはあの作品のなかに出てくるあいだはヒーローのライバルなんだけど、『中間管理職トネガワ』ではブラック企業で働いている市井の人に収まる。そこがとてもよい。